2014/10/18 Retaカフェ
記:多谷ピノ
10月18日に練心庵にて「宗教的テーマの番組アーカイブを見て語るカフェ」、通称ReTaカフェが行われました。
今回のテーマは、1994年に日本で起こった「イエスの方舟」事件です。
「イエスの方舟」事件とは、昭和53年(1978年)千石剛賢を責任者とする聖書勉強グループ、「イエスの方舟」のメンバー26名が姿を消したことに端を発した事件の総称です。
メンバーに独身の若い女性が多かったため、「千石ハーレム」などという事実と異なる表現がしばしばされました。実際は、千石剛賢以外の男性メンバーもおり、のちにメンバー自身から「夫婦間以外の性交渉はなかった」と証言されているように、ハーレム状態ではなかったようです。
今回のReTaカフェではまず、事件の10年後に制作されたビートたけし主演のTVドラマ、「イエスの方舟」の一場面を鑑賞しました。
短いシーンでしたが、千石剛賢とメンバーである若い女性たちの和やかな日常が描かれていました。彼女たちは千石剛賢を「おっちゃん」と呼び、献身的に世話を焼いていました。
続いて、1994年に放送されたドキュメンタリー番組、「驚き桃の木20世紀―イエスの方舟事件―」を47分ほど鑑賞。再現映像などを交えたこの番組はかなり詳しく当時を説明しており、釈先生がおっしゃった「これは日本初のメディアスクラムだと思います」という言葉が響きました。
私見ですが、「イエスの方舟」事件について深く印象に残ったのは、当時も、現代のように生きづらさを感じ、居場所がないと思っている人たちがいるというある意味当たり前のことでした。
そんな居場所のない彼ら彼女らにとって「イエスの方舟」は、自らの価値観を信仰に定めることによって救われる場所だったと思います。しかし、それは彼女らの家族を含め、当時の社会からすれば理解されない価値観だった。
宗教とは社会と違う枠組みを提示するものですが、それを踏まえてもなお、居場所というもの、家族というもの、信仰というもの、を自分自身でとらえなおしていきたいという思いが今回のReTaカフェの後、強く残りました。
それぞれの受け止め方を、お茶を飲みながら交換できるのがReTaカフェの魅力だと思います。どうぞ皆様、思い思いのカフェタイムを過ごしに来てください。
釈先生によれば次回(11月29日)は「80年代のニューエイジ」だそうで、これもまた楽しみです!